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更新日:2023年12月15日
近年、地球温暖化による気候の変化に伴い、全国的に降雨が集中化・激甚化・局所化しており、毎年のように下水道の計画を超える降雨(計画超過降雨)が発生し全国各地で水害が発生しています。このような状況を受け、国土交通省も対策を講じるべく様々な取り組みを実施しており、全国の都道府県、市町村においても下水道の計画で対象としている降雨におけるハード対策や計画を超える降雨におけるソフト対策などの検討が実施されています。
藤沢市では、浸水対策を目的として昭和26年から下水道事業をスタートしており、それ以降、現在まで浸水対策を継続して実施しています。
しかしながら、平成15年、16年、26年などには藤沢市内においても甚大な浸水被害が発生しており、特に、平成26年10月6日に静岡県に上陸した台風第18号に伴う豪雨の際には、藤沢市の既往最大降雨の記録を塗り替える1時間あたり77mm(観測地点:御所見)もの降雨が発生し床上浸水被害が57棟、床下浸水被害が73棟発生しました。
浸水状況(平成15年5月31日、明治地区)
浸水状況(平成26年10月6日、鵠沼地区)
一方、対策については、科学の進展に伴い色々な技術が発達している状況にあり、机上で降雨時の浸水を想定する浸水シミュレーションを実施し、このシミュレーションを基に対策の検討などを実施しており、この検討に基づき辻堂地区や羽鳥地区、藤沢地区、鵠沼地区、善行地区において現在までに貯留管を整備し浸水対策を実施しています。
そして、これまでの経過を踏まえ平成23年に策定した「湘南ふじさわ下水道ビジョン(PDF:15,680KB)」で定めた内容を見直し、さらに、将来的な気候変動の影響を考慮した「きめ細かい対策」を実施できる内水浸水対策の計画として、「藤沢市雨水管理総合計画」を策定することとしており、令和3年度までで計画の策定作業を完了しました。今後は、この計画に基づき、効率的かつ効果的に内水浸水対策を実施し安全安心なまちづくりを実現できるよう事業を進めていきます。
なお、水害のうち、河川の氾濫や堤防の決壊に伴う浸水を洪水浸水といい、その想定や対策は河川管理者が行います。一方、下水道管や水路などの能力不足や河川の水位上昇に伴い放流できなくなった場合に発生する浸水を内水浸水といい、その想定や対策は下水道管理者などが行います。ここでは、下水道管理者として内水浸水対策に関連した事項について説明しています。
上に記載したとおり、「湘南ふじさわ下水道ビジョン(PDF:15,680KB)」で定めた内容を見直し、効率的かつ合理的に浸水対策を進めるため、「藤沢市雨水管理総合計画」を令和4年12月に策定しました。
計画の概要は以下のとおりです。
これまでの下水道計画で浸水対策を検討するにあたり基本の単位としていた「排水区」については、今回の「藤沢市雨水管理総合計画」で、103排水区から175ブロックに細分化することでピンポイントに検討できるようにしました。その結果、きめ細かい対策が実施できるようになります。
そして、このブロックごとに、浸水シミュレーションに基づく内水浸水想定区域図などを用いて浸水リスク(土地の浸水しやすさ、脆弱性)を検討し、1位から175位まで「総合順位」として優先順位を定めました。この総合順位の上位から順に対策内容の検討に取り掛かり、具体的な浸水対策を立案・実施していく予定です。
藤沢市では、下水道の整備をスタートした昭和26年から5年確率降雨(5年に一度の確率で発生する降雨)を整備目標として事業を進めてきました。現在、藤沢市の広い範囲(特に南側のエリア)でこの5年確率降雨の下水道整備が終わっています。しかし、地面の土や砂がアスファルトやコンクリートに置き換わるなど都市化の進展によって、今まで浸透していた雨水が下水道管に流れ出てくるようになり、最初の計画よりも下水道管に流れる雨水の量が極端に多くなっています。さらに、冒頭でも述べたとおり、近年、降雨が集中化・激甚化・局所化しています。これらの要因から、5年確率降雨の整備が終わった地域でも未だに浸水が発生しているなど、まだまだ対策が必要な状況です。
このような状況もあり、平成23年に策定した「湘南ふじさわ下水道ビジョン(PDF:15,680KB)」では、各排水区について浸水実績などを考慮した「重点地区」を設定し、「重点地区」となった排水区では10年確率降雨を整備目標にすることとしました。
そして、今回の「藤沢市雨水管理総合計画」においてもこの考え方を踏襲し、進めてきた対策や現在の状況も踏まえて整備目標の設定方針を定め、おおむね20年以内に対策を行うブロックなどを対象に10年確率降雨を整備目標にすることとしています。また、これらのブロックを「重点対策地区」として設定し優先的に対策を行うべき区域としています。
通常、下水道の計画で設定する確率降雨に対応する1時間あたりの雨の強さ(降雨強度)は、各自治体がこれまでの降雨の統計に基づき設定します。藤沢市では、5年確率降雨は1時間あたり50mm、10年確率降雨は1時間あたり60mmとして設定しています。
そして、令和3年の流域治水関連法の施行とあわせて、国土交通省が公表している各種ガイドライン類(外部サイトへリンク)も改訂され、この中の「雨水管理総合計画策定ガイドライン(案)(R3.11)」において、気候変動の影響を考慮した下水道計画の立案が示されました。具体的には、気候変動の影響による将来の気温上昇に伴う降雨量の増加などに対応するため、従来の下水道計画で設定している降雨強度に降雨量変化倍率(1.1)を乗じるというものです。これから更に激化する水災害に対応していく上では必要な考え方であり、「藤沢市雨水管理総合計画」でもこの考え方を導入していくこととしました。
したがって、藤沢市では、5年確率降雨を1時間あたり55mm、10年確率降雨を1時間あたり66mmと設定して浸水対策施設を整備していくこととしました。
なお、既に事業が進められている北部第二(三地区)土地区画整理事業区域においては、1時間あたり50mmと降雨強度を設定して下水道の整備を進めている途中であることから、少なくとも区画整理事業の完了までは気候変動の影響を考慮しないこととしました。
下水道計画で設定した降雨強度に対して浸水を発生させない(道路冠水も発生させない)ようにするには、1箇所の対策を行うにも膨大な費用と時間が必要になります。膨大な費用が掛かるため、他の場所での浸水対策を同時に行うことができず、1箇所の対策が完了するまで他の場所の浸水はそのままになってしまいます。
今までの浸水対策は、このような事業の進め方をしてきましたが、色々な場所での対策を効率的に行っていくためには、1箇所の対策として床上浸水から床下浸水にするなど一定程度浸水の軽減を図った段階で、他の場所での浸水対策に移行することも手法の1つだと考えられます。
藤沢市においては、床上浸水被害も各地で発生しており対策は急務であることから、市民の生命と財産を守るという点に主眼をおき、まずは、下水道計画で設定した降雨強度に対して、市内各地で床上浸水を解消していくこととし、その次に床下浸水を解消するなど段階的に対策を行っていくこととしました。
以上のような方針で浸水対策を実施していきますが、令和5年度から令和24年度までの具体的な浸水対策の検討に着手していく場所については次のとおりです。
なお、以下の各タイトルに示してある【】内の数字は藤沢市雨水管理総合計画マップ(PDF:1,256KB)に示した番号に該当します。
まず最初に着手するのは、総合順位で1位・5位となった鵠沼東部排水区鵠沼東部第2幹線ブロック&川袋幹線ブロックです。このエリアは、平成23年度から蓮池周辺などで始めた工事により、雨水を貯める貯留管の整備を既に完了した場所ですが、一部、様々な理由により対策ができなかった部分もあり、更なる対策が必要なエリアです。
このエリアにおける対策は、現在庁内で検討を進めています「生活・文化拠点再整備事業」における市民会館等再整備と共に浸水対策を図るものであり、既に検討に着手しています。検討が完了でき次第、早期に対策を実施していく予定です。
具体的な対策内容としては、市民会館の用地の一部を活用した雨水ポンプ場・貯留施設の整備、国道467号の地下への貯留管の整備などを検討しているところです。
総合順位で3位となった西浜排水区西浜ポンプ場流域ブロックです。
このエリアにおける対策は、西浜ポンプ場周辺での雨水排水施設(雨水ポンプ)の整備などを予定しています。
総合順位で2位となった鵠沼南部排水区日の出橋幹線2ブロックです。
このエリアにおける対策は、二級河川引地川河口付近の東側の県立湘南海岸公園での雨水排水施設(雨水ポンプ)の整備などを予定しています。
総合順位で4位となった西浜排水区下藤が谷ポンプ場流域ブロックです。
このエリアにおける対策は、下藤が谷ポンプ場の北側と南側に分け、両側ともに雨水排水施設(雨水ポンプ)の整備などを予定しています。
総合順位で2位となった鵠沼南部排水区日の出橋幹線2ブロック、9位となった浜見山排水区浜見山第3幹線ブロック、7位となった浜見山第4幹線ブロックです。
このエリアにおける対策は、二級河川引地川河口付近の市立鵠沼海浜公園などでの雨水ポンプ場の整備などを予定しています。
以上のブロックについては、順次検討を進め対策の具体化を図っていきます。
今回記載していないブロックについては、本計画をおおむね5年に1度見直すこととしており、この見直しや次期計画の策定に伴い、本計画期間内における対策の進捗状況や総合順位などに基づき、新たに検討に着手する対象として追加していきます。
藤沢市雨水管理総合計画の概要については以上です。
「内水浸水想定区域図」は、大雨の時に下水道管や水路などがいっぱいになり、河川に排水できずにマンホールや雨水ますなどからあふれて浸水が発生する区域を示した図を言います。一般に、河川の氾濫や堤防の決壊に伴う洪水による浸水想定区域を示した「洪水浸水想定区域図」とは区別されます。
なお、内水浸水想定区域図に防災情報や避難場所などを表示した図を「内水ハザードマップ」と言います。
藤沢市では、北部第二(三地区)土地区画整理事業範囲を除く市内全域の内水浸水想定区域図(浸水深30cm以上)を令和3年度に「ふじさわ防災ナビ~いま、わたしたちにできること。~」(「ふじさわ防災ナビについて」ページリンク)に掲載し公表しています。
また、流域治水関連法の1つとして、水防法が令和3年度に改正・施行され、本市も「雨水出水浸水想定区域」の指定について義務化の対象となりました。現在公表している「ふじさわ防災ナビ~いま、わたしたちにできること。~」に掲載した内水浸水想定区域はこの水防法に基づくものとなっていませんので、今後、区域の指定に向けて検討を進めていきます。
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